警察資料に見る日本の家出の現状
家出の全国的な状況はどうなっているのか?
公的機関の統計を要約しました。
使ったのは次の資料です。
「平成21年中における家出の概要資料」
(警察庁生活安全局生活安全企画課が平成22年5月付で作成)
1.総数の動向
平成21年 |
平成20年 |
平成19年 |
平成18年 |
---|---|---|---|
81,644人 |
84,739人 |
88,489人 |
89,688人 |
平成21年中に家出人捜索願いを受理した家出人は,8万人超。
平成13~15年は10万人を超えて一つのピークを形成していましたが、最近は年2~3千人ペースで減少しています。
人口減も関係していると思われます。
男性が全体の63.5%を占め、成年/未成年では成年が76.3%を占めます。
2.年齢別動向
年齢帯 |
人数 |
構成比 |
---|---|---|
10~19歳 | 18,579人 | 22.8% |
20~29歳 | 13,866人 | 17.0% |
30~39歳 | 12,506人 | 15.3% |
70歳以上 | 11,707人 | 14.3% |
家出というと思春期の子供のすることというイメージがありますが、20代・30代、そして高齢者にも十代の6~7割に及ぶ家出人が出ていることに注目してください。
3.原因・動機ランキング
- 家庭関係 18,165人 22.2%
- 疾病関係 13,117人 16.1%
- 仕事関係 10,140人 12.4%
- 異性関係 2,654人 3.3%
家庭関係というのは、親や配偶者と喧嘩したとか、DVから逃れるためなどを指します。
疾病関係というのは、例えば認知症による放浪などです。
仕事関係というのは、事業や職場で行き詰まっての家出です。
異性関係というのは、いわゆる駆け落ちなどです。
4.所在確認の動向
平成21年中に所在が確認された家出人(ただし、捜索願が出されていた人のうち、という意味です。)は、79,936人。
ここ数年は家出人届の提出数は8万数千人レベルで徐々に減少してきています。
ということは、95%くらいは所在確認されていることになります。
ただし、所在確認された場合も不幸な形であることが時にあります。
- 犯罪の被害者として発見 186人 0.2%
- 犯罪の被疑者として発見 2,382人 3.0%
- 自殺が原因で死亡確認 3,071人 3.8%
- 他の原因で死亡確認 1,487人 1.9%
パーセンテージは所在確認者の総数79,936人に占める割合です。
捜索願届け出から発見までの日数は、当日(29.3%)、2日以上1週間以内(36.4%)、8日以上1ヶ月以内(12.2%)などで、1か月以内に77.9%が見つかっています。
しかし、1年以上かかっている人も9.86%います。
つまり、10人に1人は発見に1年以上かかり、しかも生きてみつかるとは限らないのです。
できるだけ早く捜索を開始して、一刻も早く見つけてあげるべきです。