心を病んでいないか?にも目を配る
警察の統計では、家出の原因の2位を占めるのが疾病関係です。
主要なものについて簡単にまとめました。
家出の原因としての疾病問題
- 精神分裂病、神経症、躁鬱病、認知症などの発症による出奔
- 癌など不治の病の宣告を受けたショック
- 手術の恐怖感からの逃避
- その他の病苦に対する疲労や絶望
鬱病
意欲や興味が低下し、暗い感情が持続する精神病です。
一時的な鬱状態は誰でも経験しますが、それが常態化してしまうものです。
単なる心の弱さ、怠惰と誤解されることもありますが、「まさか、この人が?」と思うような精神力の強い人もなることがあります。
モノアミン仮説などの脳内物質原因説、脳の海馬領域における神経損傷仮説などがありますが、原因はよくわかっていません。
真面目で責任感の強い人が一人で背負いこみすぎてなる、優柔不断な人が判断を迫られて板挟みになってなる、競争の敗者となる現実が受け入れられなくてなる、などのパターンがよく見られます。
しかし、これといったきっかけがないのに始まることもあります。
鬱病の人は「自分は生きている価値がない」「このまま生きていても、いいことは何もない。」と考えがちです。
家出した場合は自殺のリスクが高いので、早急に発見する必要があります。
認知症
複数のタイプがありますが、一番有名なのはアルツハイマー型認知症です。
軽い記憶障害から始まって、ついには家族の顔さえ識別できなくなります。
70才以上の老人に多発する、いわゆる「老人ボケ」ですが、若年性アルツハイマーというのもあります。
これ以外にレビー小体型認知症というのもあり、またパーキンソン病も高確率で認知症を併発します。
認知症の人の家出には「家出」という自覚はありません。
ボケている状態ですから、遠くには行けないだろう、すぐ見つかるだろうと思いがちですが、統計はそうではないことを示しています。
長期間発見されない人もおり、的確な判断力がないために事故に遭って死亡する例もあります。
また、列車運行を妨害して家族が損害賠償請求された事例もあるので、当人・家族ともにリスクの大きい家出といえます。
精神分裂病
現代では、統合失調症と呼ばれているものです。
感情や思考能力を喪失したり、妄想や幻覚にとらわれたり、いろいろな症状タイプがあります。
原因はもちろん、一つの同じ病気なのかどうかすらわかっていません。
誰かに殺される、電磁波で攻撃されている、誰かに追われている、などといった妄想を抱き、それから逃れるために家出する場合があります。
当人が死亡する可能性や事件を起こすリスクもあり、早急な発見が求められます。