実際にやってみると大変な人探しの仕事
捜索先の優先順位がつけられたら、実際の捜索活動を始めます。
その際の注意点を述べます。
スピードが大切
捜索の方針が正しかったとしても、もたもたしていては家出人は別の場所に移ってしまう可能性があります。
時間がかかっている間に、知り合うべきでない人と知り合ってしまったり、事件に巻き込まれる可能性もあります。
捜索はスピーディーに行い、一刻も早く見つけてあげねばなりません。
特に自殺の危険も考えられる場合はそうです。
スピードを上げるために一番効くのは人海戦術です。
1人や2人で探していたのでは、いくらスピードを上げると言っても限界があります。
出来るだけたくさんの人に協力してもらい、短期集中で見つけだしましょう。
聞き込みの仕方に注意
人に家出人の行方を尋ねる時のやり方には注意しましょう。
家出人を探している事情と、あなたが何者かを簡潔に説明して、相手に心を開いてもらわねばなりません。
あなた自身が怪しい人に見えたら、知っていても教えてくれない可能性があります。
身なりや言葉使いにも注意する必要があります。
ネットカフェ、その他のお店ではお客さんのプライバシー保護が優先で、聞き込みは拒否されることが多いと覚悟しておいてください。
それを乗り越えて情報収集するには、いろいろ工夫が必要ということです。
また、子どもの家出などの際に、繁華街でたむろする少年などに聞き込みをする時は、相手を刺激しないよう注意するとともに、なめられないことも大切です。
真剣さが伝われば素人でも突破できるとは思いますが、人探しの聞き込みはそんなに簡単なものでもないことは覚悟しておいてください。
隠れたがっている家出人には注意
心配して見つけ出してくれることを家出人が望んでいる場合は、捜索も発見後の接触も楽です。
本人が「家出」という意識があまりなく、たださまよっているような場合も問題はありません。
大変なのは家出人が家人の捜索を警戒している場合です。
近くまで探しに来たことが伝わると、逃げられる可能性があります。
本人や同行者の暴力的対応も考えられます。
例えば駆け落ちした妻を連れ帰ろうとしたら、相手の男に激しく暴行された、というようなケースです。
こういう家出人は、発見・接触に至る前に、捜索の段階でいろいろ対策を考えながら進める必要があります。
危険な場所は複数で捜索する
繁華街などでたむろする不良少年グループ、ホームレス集団、カルト宗教団体などに聞き込みする場合は、一人ではなく複数で向かうようにしてください。
聞き込みに行った人が危険な目に遭う可能性があります。
情報の真偽を見極め、捜索方針を軌道修正
聞き込みをするといろいろな情報が集まってきます。
その中には外見的特徴が似た別人の関係ない情報、家出人を隠すために流された嘘の情報も混じっているかもしれません。
そういうものをふるいにかけながら、必要に応じて捜索方針を変える必要があります。
見当違いの可能性が高い場所を探し続けていては、時間がどんどん経っていくばかりです。
方向転換の際には苦悩が伴うのが普通です。
「実は最初の方針が正しくて、あと少しで見つかる可能性もあるのではないか?」
「新しい方針で捜索してもやっぱりみつからなかったら、次はどうしよう?」
わからないことがたくさんある中で、決断を下して行かねばなりません。
そして最初の方針を継続するにせよ、方向転換するにせよ、ひとたび捜索方針を決めたら、全力でそれを実行せねばならないのです。